zwid’s blog

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【観劇】Fumiko【傳谷英里香】

昨日(8/17)の昼にでんちゃん初主演の舞台「Fumiko」を見に行った。千秋楽が今日終わったのでがっつりネタバレ有の感想。

www.fuuunkabocha.com

体感スタンディング

体感スタンディングと指定席という2種類のチケットがあったが、自分が購入するときには体感スタンディングが売り切れていたため指定席で観劇した。体感スタンディングは客席前方が立ち見で自由に動けるスペースがあり、その中で手拍子だったり場合によっては飛び跳ねることもできる、音楽のライブに近い感覚に見えた。また、スタンディングエリアに演者が紛れる場合もあったため歌やダンスの見え方がどの位置にいるかによっていろいろ代わりそうだと感じた。

自分の席は指定席の一番前だったのでスタンディングのエリアもよく見えた。スタンディングエリア以外の部分も手拍子などで舞台に加わることができて、通常の観劇とは違う体験ができたと思う。

DJ

手拍子を入れるタイミングや、体感スタンディングエリアの台を移動する際などDJ的な人がうまく指示をしてくれていた。開演前から曲をかけ、盛り上げていたが開演後どうするのかと思っていたらそのままモブとして出演していたのが驚いた。服装が派手なシャツにサングラスといういで立ちのままだったのがシュールだったけれど、それがうまく舞台と客席のギャップを埋めてくれていたのかもしれない。

あらすじ

1930年代のアメリカ、日系移民のFumikoが地元の小さなステージからブロードウェイを目指すというのが大きな流れ。

Fumikoの両親はFumikoの兄の正一が子供のころにアメリカに移住してきて今では自分の店を持っている。しかし自分たちがよそ者であり目立つことがよくないと感じていて、Fumikoがステージに立つことを嫌っている。正一は将来は大きな商売を立ち上げたいとの思いもあり、ほそぼそと生きていくという両親の考えに反発し、Fumikoを自分が企画している夏祭りのステージに立たせてあげている。

そんな一家のもとに商売の勉強のために日本から来た鐵三という青年がやってくる。鐵三はFumikoの舞台をみて感動し、Fumikoに芸の道で生きていくことを強く勧める。両親の考えもあり、演劇で身を立てることをあきらめかけていたFumikoだったが、鐵三の言葉で、地元を離れ夢を追うことにする。

Fumikoはそこでデイビットという演出家に才能を認められ、主演を務めることになる。しかし、ここで戦争が暗い影をおとす。Fumikoは舞台や演者の安全のために役を降りることになってしまう。デイビットや関係者は戦争が終わればすぐにでも復帰してもらうと言葉をかけるが、Fumikoは町を出る。Fumikoの地元では日系人の居住区域が作られ、家族と鐵三はその中での生活を強いられる。正一はそこでの扱いに反発し、脱走を試みるが警備に射殺されてしまう。

ハッピーエンドではないけれど

あらすじを読めばわかる通りまったくハッピーエンドではない。でも、自分が観劇後に感じたのは悲しみより楽しさや力強さだった。それは劇中でのミュージカル要素を盛り上げてくれるDJの存在だったり、手拍子でその音楽の中に加われる楽しさも大きかった。しかし一番大きいのは終わり方がとても良かったからだと思う。

正一の葬儀が終わったあと、Fumikoと鐵三が会話をするシーンがある。「今年の夏祭りどうなるんだろう」「正一さんだったらやろうって言うんだろうね。こんな時だからって、言うんだろうね」

その後DJの「人生という一つの舞台、楽しんで行こう」(うろ覚え)的なセリフで舞台でこれま演じられた曲が再び演じられる。地元の夏祭りでFumikoが躍った曲、踊ったことが親にばれたFumikoを励ますためにレモネードを作った時の曲、ブロードウェイの舞台で演じられていた曲、Fumikoが主演をやるはずだった曲などなど。

そのラストによって、次の夏も今までの辛いことや嬉しいこと、楽しいことを踏まえて生きているはずのFumikoや鐵三の姿が感じられた。

体感スタンディングという形式で盛り上がりやすいことを考えると、もっとハッピーエンドで楽しい結末にすることも考えられたと思うけれど、重たいテーマと結末にしつつ未来への希望や力強さが感じられるエンディングになっていたのが凄いなと思った。

レモネードのシーン

上でも少し触れたけれど親に内緒でステージに立っていたことがばれて怒られたFumikoが祭りの出店のレモネードを作ることで元気を出すというシーンがあった。音楽と、観客が事前に練習していた手拍子に合わせて、Fumikoが笑顔になるのだけれど、自分の席がちょうどそのシーンを目の前で見れる位置だった。かなりナチュラルなでんちゃんの笑顔が見れてめっちゃ運がよかったし最高だった。