zwid’s blog

主に自分の好きなものについて書きます。

応援しているチームには誇れる存在であってほしいという事

サガン鳥栖の監督のパワハラ行為について発表がありました。

www.jleague.jp

web.gekisaka.jp

私はサガン鳥栖のサポーターの一人として、今回の件について金明輝監督はもちろん、サガン鳥栖というチーム自体に深い失望を覚えました。

今の気持ちを書いていきます。

クラブは隠蔽と取られても仕方ない動きをしている

今回のパワハラ報道の発端は2021/7/9に発表された金監督の暴力行為(選手を手で押さえながら足払いをして転倒させた)に関する発表でした。

www.sagan-tosu.net

この時点では、クラブが調査を行い、この暴力行為のみの処分として3試合の指揮資格停止を行っています。
その後、2021/8/30に上記の件以外にもパワハラや暴力が常態化している、調査不十分だという告発文が出されました。スポーツ報知が記事にしています。

hochi.news

この記事内で福岡社長の以下のコメントが載っています。

現時点においてJリーグおよび日本サッカー協会からの詳細な連絡を受けておりませんので、正確な情報を把握したのち、今後、対応の必要性が出てくれば、誠意をもって迅速に取り組んでまいります

ですが、結局はサガン鳥栖が再度調査することはなく、Jリーグが調査することになり、その結果が冒頭の記事です。
最初の調査の時点で足払いの件のみに絞って報告したこと、告発文が出てからもクラブ側の再調査が無かったのは、もともとクラブ側が金監督の振る舞いをある程度把握しており、悪い結果が出ると分かっていたからではないかと私は疑っています。

優秀であるからと言って何をやってもいいわけではない

ここ数年のサガン鳥栖を見ていると金監督がサッカーの監督として優秀であるのは間違いありません。ユースの監督として強いチームを作り、トップチームでは2年連続で降格の危機にあるチームを前任者から引継ぎ、J1に残留させました。その後、正式に監督に就任してからはポジショニングで優位を取りボールを保持しながら攻める面白いサッカーを作り上げました。資金力に劣るサガン鳥栖というチームでユース上がりの若手や、J2からの補強などJ1での実績の少ない選手を使ってこれだけの成績を残せる監督はそういないと思います。
しかし当然ながら、サッカーの監督としての優秀さがパワハラの免罪符になることはありません。むしろ優秀であるからこそ周りが声を上げにくくなります。問題があると思っていてもチームの調子が崩れるかもしれないと遠慮したり、被害にあっている人でもそれが正解の指導だと思ってしまう事もあると思います。今回の報道が出る前、サガン鳥栖の選手の中にもSNSで金監督への感謝を述べている人がいました。その選手が暴言や暴力を気にしなかったのか、たまたまパワハラの対象にならなかったのかは分かりません。しかし、サッカーの指導に「死ね」「消えろ」などといった暴言も、暴力も必要ありません。

金監督に見いだされた選手たちも暴言、暴力なしで今と同じ能力を身につけられたはずです。人格否定や暴力は人の人生を壊す事もあります。

サガン鳥栖のフロント、金監督に聞きたい事は「選手やスタッフを傷つけた上で得た勝利に何の価値があるのか?」という事です。

私はサガン鳥栖のサポーターです。サガン鳥栖が勝つところが見たいです。面白いサッカーを見られたら嬉しいです。ですが、あの素晴らしいパスワークが、最後まで走りぬく選手たちが、パワハラの恐怖で動かされたかもしれない、あるいは、ピッチ上の選手たちは気持ちよくプレーしていても、控えの選手やスタッフの方々が踏みつけられ、傷つけられた上に成り立っているかもしれないと考えた時に、そんなチームを応援することはできません。サッカーの成績よりもまず人間を尊重してください。嘘をつかないでください。サポーターの前に選手やスタッフを大切にしてください。それができないのならばチームの運営や監督業なんてやらないでください。


告発をしてくれた人、調査に協力してくれた人への感謝

今回の件を告発してくれた人、調査に正直に答えてくれた人たちに対してはとても感謝しています。
当然の事ではあるのですが、言っておきたいことがあります。パワハラが明るみに出たことがきっかけで、例えばサガン鳥栖というチーム自体が消滅するような事があったとしても、告発してくれた人や調査に協力してくれた人は一切悪くありません。
すべてパワハラを行った当人、また、その防止をできなかったクラブの責任です。
チーム自体の成績が良い中、パワハラを受ける弱い立場から勇気を出して告発をしてくれて本当にありがとうございました。パワハラで受けた傷から回復し、活躍されることを願っています。

応援するという事

ここからは余談です。
私はサガン鳥栖がJ1に上がった事をきっかけにサッカーを見始めました。最初は冷やかしくらいの気持ちでしたが、ガンバ大阪相手に0-2から逆転したその試合が終わるころには、ガッツポーズして鳥栖の勝利を喜んでいました。それから10年ほどサッカーを観戦していて「応援する」という行為について考えた事があります。

鳥栖にハマる前はスポーツ選手の言う「プレーで勇気を与える」というような発言に懐疑的でした。しかし、実際好きになってみると、あきらめない選手の姿勢だとか、ゴールが決まった時の感情の爆発であるとかには、確かに現実の辛いことにでも立ち向かえる勇気をもらえる事が分かりました。

私にとって応援するという行為は「楽しい」という他に「自分も選手を見習おう」「自分ももっと頑張ろう」そういう思いを持てるようにしてくれる人生を豊かにするためのものです。
そのために応援しているチームには誇れる存在であってほしいのです。強いチームである以前に、選手、スタッフを含めたチームにかかわるすべての人が尊重されることはその前提条件です。

今回のパワハラとその対応は正直言ってひどいものです。ここからクラブとして信頼を回復する道はとても険しいと思いますが、なんとか立ち直る事を願っています。