明石市市長の「何もしてないやん7年間」を額面通りに受け止め過ぎでは
※自分は明石市民でもなければ公共事業に詳しいわけでもないので、事実誤認などあれば教えてください。
明石市の市長によるパワハラ発言が話題です。
最初は市長の「今日火付けてこい!」などのショッキングなパワハラ発言のみがクローズアップされていましたが、その前後の会話が出てくると土地の買収が7年間うまくいっていなかった職員にも問題があるのではという風潮になっています。個人的にあまりにも職員の方の職務怠慢が前提として語られているように感じました。
今現在(2019/01/31 20:40ごろ) はてなブックマークでは下の記事がたくさんブックマークされていてはてブのトップページに表示されています。
headlines.yahoo.co.jp
この記事に以下の記述があります。
拡幅工事は10年から対策が進められてきたが、暴言があった17年6月まで立ち退き交渉が進んでいなかった。
「立ち退き交渉が進んでいなかった」の部分だけ見ると全く何もしていないような印象になりますが、そのほかの記事を見ると少し印象が異なります。
以下の記事には発言の内容など詳しく載っています。
headlines.yahoo.co.jp
この記事中に以下のような記述があります。
2010年に国交省・近畿地方整備局が拡幅工事を決定し、2012年に明石市が用地買収に着手。用地買収が36件、物件補償が27件あったが、暴言のあった2017年6月時点では、条件面で折り合わず、所有者が立ち退きに応じていないビル1棟を残すのみとなっていた。
この記述を見ると担当者が「何もしてない」訳ではなかったことがわかります。
また、神戸新聞のweb版には職員の怠慢ではなかったという市の幹部のインタビュー記事もあります。
www.kobe-np.co.jp
「最後の建物を放置していたのではなく、1カ月に1回以上は地権者と交渉していた。正式書面で金額は示していなかったが、概算額は提示していた。市長が激高した時期は契約前の最終段階だった」
市長は「7年間何しとってん。楽な商売しやがって」と怒鳴ったが、別の職員は「金額提示をしていないことを、全く着手していないと思い込んだのではないか」と推測した。
また、科学ライターの大貫剛さんという方が、公共事業にかかわった経験をもとに今回の件について連続ツイートをされています。
明石市長の暴言の件。「7年も放置した職員の怠慢を叱った市長は正しい」という意見が多いようだが、公共事業の経験のある僕から見ると職員が言っていることも間違っていないように思うので、連ツイしてみる。
— 大貫剛 (@ohnuki_tsuyoshi) January 30, 2019
これらのツイートによると用地買収が市役所の予算や地価などの関係でスムーズに行きづらいもののように思えます。
当該の職員について「7年間何もやっていない、職務怠慢で無能な人物」と感じている人が多いよう見えました。私自身もこの問題について「有能な人間が無能な人間にパワハラすることが認められるようにならなければいいなぁ」というようなコメントをしました。いくつかの記事などを見ていくとそれは事実と異なるのではないかと思うようになり、この記事を書きました。
確かに当初の計画より遥かに遅れが出ていたことは事実ですが、計画が遅延する要素は複数あり、計画の遅延をもって職員の怠慢と断ずることはできないのではないかと思います。当該の職員の方はほぼ確実にこのネット上の騒ぎを目にされているはずで、パワハラを受けた挙句ネット上で無能の烙印を押されているのは非常に可哀想なことです。実際の仕事内容に関しては私には分からない部分がありますが、現状ではあまりに職務怠慢を前提としたコメントが多いと感じます(特にYahooニュースのコメント欄)。
そもそも、常軌を逸したパワハラ発言をしてしまうほど激怒している人間の「何もしてないやん7年間」の言葉を真実として受け止め過ぎなのではないでしょうか。明石市市長が意図的に嘘をついたとは思いませんが、勘違いや思い込みなどもありますし精神状態も通常とは異なる状態だったと思います。
以上です。